皆さん、高いところは得意ですか?
僕は正直に言いますと、この業界に入ったばかりの頃はめちゃくちゃ怖かったです(笑)。
特に私たちが主戦場としている「大阪府大阪市 橋梁補修」の現場って、足元が「地面」じゃなくて「水面」のことが圧倒的に多いんですよね。
大阪は古くから水運で栄えた運河の街。橋の下を覗き込めば、淀川や大和川、あるいは無数の運河の濁った水面がユラユラと揺れています。
そんな水の上で作業するわけですから、万が一、高価な工具をポチャッと落としたら回収不可能。もちろん、人間が落ちたら大ニュースになってしまいます。
だからこそ、大阪の現場では「足場」の組み方が、文字通り命綱になります。今日は、そんなスリル満点な水上現場の裏側を少しだけお見せします。
空中に無理やり床を作る「吊り足場」の恐怖と技術
川や海の上に架かっている橋を直すとき、どうやって作業スペースを確保するか。
下からボートに乗って作業する場合もありますが、基本は橋の桁(ケタ)から直接チェーンや単管パイプをぶら下げて、空中にステージを作る「吊り足場」という方法をとります。
これがね、とにかく揺れるんですよ。
橋の上を大型トラックが通るたびに、ガタン!ゴトン!と強烈な振動がダイレクトに伝わってきて、足元の鉄板がフワッフワとトランポリンみたいに揺れる。
最初は足がすくんで作業どころじゃないんですが、不思議なもので、1週間もすると「あ、この揺れのリズムは4トントラックやな」とか分かるようになってくるんです。人間の適応力ってすごいですよね。
でも、この足場の設置作業は本当に命がけで、ミリ単位の精度が求められます。
隙間なくピッチリと板を敷き詰め、その上から防炎シートを張らないと、そこからコンクリートの破片や有毒な古い塗料が川に落ちて、重大な環境汚染になってしまいます。
大阪市は水質や環境基準も非常に厳しいので、「養生(ようじょう)」と呼ばれるこのシート張り作業には、実は補修作業そのもの以上に神経を使っています。
「見えない場所」へ行くための執念
たまに、「えっ、こんな狭い隙間に人間の身体が入るの?」という過酷な現場もあります。
満潮になると水面と橋の裏側の隙間が50センチくらいしかなくなってしまう橋とか。
そういう時は、干潮の時間を狙ってボートで下から近づき、ヘルメットが天井に擦れるような状態で、無理やり身体をねじ込んで調査や補修を行います。
「そこまでして直さなきゃいけないの?」って言われることもありますが、人間と同じで、病気(劣化)は隠れた場所、人が見ない場所から静かに進行するんです。
誰も見ない、点検すら行き届かないような場所ほど、塩害でサビてボロボロになっている。
それを見つけ出して、どうにかして足場を組み、綺麗に直した時の達成感は、泥だらけと潮水まみれになった人間にしか味わえない、一種の特権かもしれません。
困難な現場ほど、職人の血が騒ぎます
「他社に調査をお願いしたら、川幅が広すぎて足場が組めないから無理と言われた」。
そんなご相談をいただくと、私たちリペアクラフトの人間は、正直ちょっとニヤッとしてしまいます。「よし、あの手この手でどうやって攻略してやろうか」って、逆に燃えるんです。
水上だろうが、高所だろうが、狭小空間だろうが、安全で確実な足場を組んで橋を直す。
そんな私たちの「足場仮設」の技術や、「特殊環境での施工」についてもっと知りたい方は、こちらのページをご覧ください。



